戸建ての構造・工法で違いはあるのだろうか?
自分のライフスタイルに合った住まいを見つけるには、どの戸建ての構造・工法で建てるかが大きく影響してきます。
本記事では、一級建築士の筆者が戸建て住宅の構造・工法の種類・特徴を紹介するとともに、そのメリット・デメリットを解説していきます。
この記事を読むと下記のことが得られます。
- 戸建ての構造・工法の種類がわかる
- 各構造・工法の特徴がわかる
このサイトでは生活の効率化を追求しています。
他にも暮らしに役立つ情報が盛りだくさんなので、ぜひ読んでみてください。
戸建ての構造・工法とは
戸建ての住宅に用いられる一般的な構造は、素材別に木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造に分けられます。建て方は大きく、構造材で骨組みを作って支える軸組工法と、建物の壁面で支える壁式構造の2つが主な工法です。
軸組工法は、間取りや開口部の取り方などに制約が少ないため、設計に自由度があるのが特徴です。
壁式構造は、耐震性に優れた木造の2×4(ツーバイフォー)工法や、鉄筋コンクリート造の壁式構造などがあります。柱や梁の代わりに壁厚で支えるため、室内空間をすっきりと広く取ることができます。
住まいの構造・工法は、建てようとする家やその敷地によって、ベストとされるものが異なります。そのため、それぞれのメリット・デメリットを知り、自分たちの優先順位を明確にしておくと、より希望に合った方法を選ぶことができます。
住宅の工法
①木造軸組工法
ひとるめの住宅の工法は「木造軸組工法」です。
最も見慣れているであろう木造づくりの住宅工法です。
特徴
木造を使って、職人が「手づくり」で建てる工法。コンクリートの基礎にのせた土台に柱を立てて、水平に渡した梁で枠踏みを作る。つっ解剖のように入れた筋交いで耐力壁を作り耐震性を確保している。
メリット
- 構造上の制約が少なく、小刻みに柱や壁を動かすことができるため、設計や間取りの自由度が高い
- 変形や狭小地に対応しやすい
- 開口部の設定がしやすく、大きな窓が取り付けられる
- 増改築がしやすく、部材も豊富
- 木材住宅を施工するほとんどの工務店が対応できる
デメリット
- 湿気の多い土地では、シロアリや腐朽対策が特に必要
- 施工会社や職人の腕で納まりや仕上がりの精度にバラつきができる
- 大きな吹き抜けなどを作るのは特殊材を使わないと難しい
- 含水率の低い木材hを選ばないと、木がやせたり、反ったりする
住宅の工法
②2×4(ツーバイフォー)工法
2つめの住宅の工法は「2×4(ツーバイフォー)工法」です。
安価で高品質な工法で最近では大手ハウスメーカーも使っている一般的な住宅工法です。
特徴
北米から導入された比較的安価で、仕上がりの早い工法。マニュアル化された手順が、品質を保ちます。壁で力を受け、家を支える構造。部屋数(壁の数)に合わせて耐震性も強化される。
メリット
- 6面体で支える箱型構造のため、強い耐震性を備える
- 構造体に隙間がないため、気密性、断熱性、防火性に優れている
- 施工方法に公的基準があるため、品質が安定し、工期も短い
- どんな敷地でも施工は可能
デメリット
- 壁で強度を保っているため、設計の自由度は低い
- 将来の増改築がしにくい
- 大きな窓などの開口部の設計が難しい
- 内部結露が起こりやすい
- 湿気が多い土地では、シロアリや腐朽対策が特に必要
- 2階の音が1階に伝わりやすい
住宅の工法
③④鉄骨造
3つめと4つめの住宅の工法は「鉄骨造」です。
多くのハウスメーカーでも使われている住宅工法で、鉄骨造の中でも種類が分かれます。
重量鉄骨ラーメン工法
特徴
厚み6mm以上の鉄骨で、柱や梁をつくり骨組みが変形しても外れない「剛接合」で接合する工法。もともとは高層ビルなどに用いられる工法で、耐震性・耐久性は抜群。構造上の制約もなく、増改築も容易です。
メリット
- 間取りや開口部の自由度が高く、大空間がつくりやすい
- 耐震性・耐久性が高い
- 部材次第で4階建て以上にもできる
- 内部の改装がしやすい
- 部材が工場生産のため、品質が安定
デメリット
- 酸化しやすいので、サビに注意。熱や火にも弱い
- 基礎工事費が高いので、木造に比べて全体の建築工事費が高くなる
- 重量鉄骨は組立にクレーンが必要なため、道路の狭い土地では難しい
軽量鉄骨
特徴
厚み6mm以下の軽量鉄骨で柱や梁をつくり、ボルトなどで接合する工法。補強には筋交いを用いる。多くのハウスメーカーが参入しているため、予算やプランなどは検討しやすい。
メリット
- 耐震性・耐久性が高い
- 敷地対応力が高く、3階建てができる
- リフォームがしやすい
- 工期が短い
- 部材が工場生産のため、品質が安定
デメリット
- 酸化しやすいので、サビに注意。熱や火にも弱い
- 基礎工事費が高いので、木造に比べて全体の建築工事費が高くなる
- 重量鉄骨は組立にクレーンが必要なため、道路の狭い土地では難しい
住宅の工法
⑤鉄筋コンクリート造(ラーメン工法・壁式工法)
5つめの住宅の工法は「鉄筋コンクリート造(ラーメン工法・壁式工法)」です。
重くて丈夫な住宅ができる工法で重厚感や洗練された見た目のものが多いです。
特徴
柱・梁・壁・床を構成する鉄筋の周りに型枠を設け、コンクリートを流し込んで固める工法。耐久性・耐震性・耐火性に優れています。特に壁式工法は、地震の被害例が少ない工法です。柱のでっぱりもないため、すっきりした住宅向きといえるでしょう。
メリット
- 耐久性、耐震性、耐火性、気密性、遮音性、断熱性に優れている
- 防火地域に建てられる
- 建物に重厚感が出る
- 現場施工なので、変形地や狭小地にも対応できる
デメリット
- 基礎工事にコストや時間がかかる
- 他の工法に比べ、工期が長く、コストも高い
- 建物に重量があり、地盤強化が必要になる場合がある
- 狭小地では割高になる
- コンクリートの品質や施工技術が適切でないと、強度が劣る
住宅の工法
⑥プレハブ工法
6つめの住宅の工法は「プレハブ工法」です。
パネルを現場で組み立てるため、工期も早く安価な構造です。
特徴
床・壁・天井を構成する「パネル」を、現場で組み立てる工法。2×4工法と同様の構造となり、耐震性に優れている。断熱性が低いため、結露が発生しやすく、耐久性を保つには換気性能が必要。
メリット
- 部材を工業生産するため、品質が安定
- 現場はマニュアル施工のため、コストダウンが可能に
- 工期が短い
デメリット
- 構造が規格化されているため、変形地や狭小地には向かない
- 間取りの変更、リフォームがしにくい場合がある
- 設備機器、仕上げ材などが限定されてしまう
- 組み立てにクレーンが必要なため、道路の狭い土地では難しい
住宅の工法
⑦ユニット工法
7つめの住宅の工法は「ユニット工法」です。
工場で作ったものを現場で組み立てるタイプのもので工期が最も早いのが特徴です。
特徴
工場で内装から設備機器、外壁まで作りこんだユニットを現場に運び、クレーン車で組み立てる工法です。軽量鉄骨ラーメン工法で作られることが多く、最も工期が短い。
メリット
- 部材を工業生産するため、品質が安定
- 現場はマニュアル施工のため、コストダウンが可能に
- 工期が短い
デメリット
- 構造が規格化されているため、変形地や狭小地には向かない
- 間取りの変更、リフォームがしにくい場合がある
- 設備機器、仕上げ材などが限定されてしまう
- 組み立てにクレーンが必要なため、道路の狭い土地では難しい
住宅の工法 まとめ
以上が、戸建て住宅における構造・工法とメリット・デメリットとなります。
住宅は、どれだけこだわりをもって建てても、安全で安心な住宅でないと意味がありません。日本は、地震大国であり、豪雨や台風といった自然災害も年々脅威を増していると言わざるを得ません。
10年に一度や5年に一度の災害に対してどこまで策を講じ、コストをかけるかが重要であるとともに、そのコストに見合った構造・工法を選択する必要があります。決断するのは、ハウスメーカーや工務店ではなく、あなたなのです。そのためにも、本記事でご紹介した構造・工法が一つのとっかかりになればと思います。
また、あなたのライフスタイルにぴったりの住まいを建てる方法についての記事を書いていますので、ぜひ下記のリンクから参考にしてください。
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